その花が永遠に咲き続けますように
「……ステージ、観てくれてありがとう。音楽、興味ないって言ってたのに」

「……興味ないことはないわよ。大輝が昔から音楽好きでね。私もアイツに付き合わされて、一緒に音楽やったりしてたの」

「え?」

「中学生までは近所の音楽教室にも通っていたから色んな楽器をやってた。一番好きなのはベースかな。興味ないどころか、本当は私も音楽は好きよ。まあ、高校ではやらないと思うけどね。そんな機会もないし」


じゃあ、と言って白山さんは今度こそ歩きだす。


だけど私は再び、その後ろ姿に声を掛ける。



「……っ、一緒にバンドやらない?」


白山さんは目をまん丸くして私に振り向く。
私も、自分自身に驚いてしまった。殆ど咄嗟に、衝動的に、反射的に言ってしまった。


だけど、自分の発言を訂正する気も全く起きず、私は言葉を続ける。



「……ベース、やってるんでしょ? ちょうどベースやってる人を探したいと思っていたところなの」


白山さんは目を見開いたまま数回瞬きを繰り返し、身体をこちらに向ける。
そしてゆっくりと口を開く。


「私が、あんたと同じバンドに?」

「私の他には、武入君と荻原さんがいる。文化祭でステージに一緒に立っていた吉宮くんはいないんだけど」

「いや、ていうかあんた、私のこと嫌いでしょ? 何で誘ってくるの?」
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