その花が永遠に咲き続けますように
彼女のその質問に、今度は私の方がきょとんとしてしまう。


「……嫌いなんて思ったことは、ない」

「え?」


どうしてそんな不思議そうな顔をするのだろうとこっちが不思議になるくらい、私は目の前の彼女のことを嫌いだなんて思ったことはない。


「だって白山さんは、いつも本音をぶつけてくれるから」


日奈やリコに裏切られて以来、人と関わるのは確かに怖い。
また裏切られたらどうしようって思うし、相手が本当は何を考えているんだろうって、その心の内を疑ってしまったりもする。


だけど、白山さんはいつでも真っ直ぐだった。
確かに言葉がストレート過ぎる部分もあるけれど、少なくとも私にとっては、裏表のない言葉をぶつけてくれる彼女のことは、嫌いと思ったことはない。



「……まあ、白山さんの方が私のことを嫌いだろうけどね」

それに気付いたから、思わず苦笑しながらそう返した。
そう、いくら私が彼女にメンバーになってほしいと言っても、一番重要なのは彼女の意志。彼女はウジウジした私のことが嫌いと思われるから、私と同じバンドになんて入りたくはないだろう。


「でも、もし考えが変わったらその時はよろしくね」

そう伝えて、今度は私の方から彼女に背を向ける。


だけど、二、三歩進んだところで……



「言っておくけど!」


彼女のその声に反応し、立ち止まって振り向くと、彼女は真っ直ぐにこちらを見ていて、



「私、ベースにはかなり自信があるから! だから……中途半端な演奏は絶対にしないし、楽しくやるだけのお遊びなバンドならすぐに抜けるから!」


と答えた。
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