その花が永遠に咲き続けますように


【そっか。一日で三人も集まったんだ。すげーじゃん】


その日の夜、私は家の自分の部屋で永君に電話を掛けていた。


メッセージのやり取りは今まで何回かしていたけれど、電話で話すのは初めてだ。自分から電話を掛けるのは初めてで少し緊張したけれど、どうしても聞いてほしかった。今日、三人のバンドメンバーが集まったことを。



「うん、そうなんだ。それでね、十八日の放課後に皆の予定が合うから、ファミレスに行って今後について話し合うことになったんだ」

【そうなんだ。楽しんでこいよ】

「うん……」


中学時代のいじめのトラウマをまだ乗り越えた訳じゃない。これからバンドをやっていく中で辛い思いをすることだってあるかもしれない。
それでも、荻原さんと武入君にバンドから一緒にバンドやろうって誘ってもらえたこと、白山さんが私の歌を褒めてくれたこと、嬉しいことだらけのはず。

はずなのに……。



「……永君」


彼の名前を呼ぶ声が、少し震えてしまった。電話越しだから、気付かれていないといいなと願う。


【ん? 何?】

「……



永君は、本当にもうバンドやらない?」
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