その花が永遠に咲き続けますように
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「赤点回避ーっ!」

休み時間に入った瞬間、武入君が叫び声にも似た歓喜の声を上げる。ついさっき、先日の期末試験の最後の一科目のテストが返却されたのだ。


「当然でしょ。私がヤマはって教えてあげたんだから」

「おー。マジで感謝してるよ瑠夏。俺はやっぱお前がいないと無理だな」

「なっ……バ、バカじゃないの⁉︎」


武入君と白山さんの、普段通りのそんなやり取りを横目で見つつ、私はぼんやりと先日の永君の言葉を思い出していた。



『デートしない?』



……思い出すだけで顔が熱くなりそうだ。
デート、なん今までそんなもの誰ともしたことないし、その相手が永君だと考えると余計に意識してしまう。



……とは言え、〝デートしない?〟の後すぐに、〝なんてね〟と付け足された。なんだ冗談か、と思ったけれど、土曜日に二人きりで一緒に出掛けること自体は冗談ではなく、決定事項だった。


……ってことは、それってやっぱりデートってやつなんじゃないだろうか?
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