その花が永遠に咲き続けますように
待ち合わせ場所である、高校の最寄駅のロータリーにある時計台の前に向かうと、既に永君がそこで待っていた。


「おはよう。ごめん、待った?」

「あ、おはよう咲! いや、俺も今来たところ。待ち合わせ時間までまだ十分もあるし」


いつもの笑顔を私に向けてそう言った永君は、その後、私の姿を妙にじろじろ見始める。


「永君?」

「咲の私服姿初めて見た。可愛いね」

「っ、え⁉︎」

「じゃあ行こうか」

……とんでもない発言をしておきながら、何でもないように駅構内へと歩き始める彼。
仕方ないから小走りで彼の横に並ぶけれど、心臓がドキドキとうるさい。
……いや、私が大袈裟に捉えてしまっているだけで、彼にとってはとんでもないどころかいつものことかもしれない。荻原さんや白山さんが私服でやって来ても同じこと言いそうだし。


……二人きりで出掛けることについても、こんなに意識しているのは私だけで、きっと彼にとっても大したことじゃない。


……それはわかっていても、やっぱり多少緊張してしまう。



「そう言えば、どこ行くの?」

何か買い物に付き合ってほしいなら、わざわざ電車に乗らなくても用は足りるんじゃないかなと思った。


すると彼は。


「遊園地行かない?」

「……え?」

予想外過ぎる言葉に、思わず固まる。


遊園地って……そんなの……



「絶対楽しいって! 決まりな!」


う、うん。と答えてしまったけれど……



それじゃあ本当にデートみたいじゃない⁉︎
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