その花が永遠に咲き続けますように

急降下するジェットコースターに気力と精神力を吸い取られ、足元がふらつく。多分今の私、とても青い顔をしている。永君に支えられて何とか歩く。


「ごめんごめん。咲、ジェットコースター苦手だったんだ?」

言いながら、永君がおかしそうに笑う。


「いや、ジェットコースターが苦手って訳ではないんだけど、今乗ったやつは思ったより降下が激しくて……」

「九十度近い落下が多かったもんなー」


しばらく歩き続けたところ、何とか一人で歩けるようになったので彼から離れる。


「大丈夫?」

「うん。ご迷惑をお掛けしました」

そう言うと、永君はまた声を出して笑い、


「迷惑なんてとんでもない。俺、咲と遊園地で遊べて今すっげー楽しいよ」


なんて言うのだった……。


驚いたのはその言葉だけでなく、


「歩けるようになったなら、次はあっちのエリア行ってみよう」

と言って、私の手をギュッと握ってきたことだ。


動揺し過ぎて、それについて言及することなんて出来やしない。


その手は、数歩進んだところですぐに自然と離れた。

だけど、彼からの手の温もりも、激しい心臓の動きも、しばらく残って消えなくて。



……永君は、私の恩人。彼がいなかったら荻原さん達とバンドを組むことも出来なかったし、私はいつまでも一人ぼっちだっただろう。



だけど、ひょっとしてそれとは別の感情を私は彼に対して持っているのだろうか?



私は永君のことを……どう思っているのだろう……。
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