不器用なキミ~向日葵の恋~
気にするぐらいなら行ってしまおう。

そう思って店に行くと、美月ちゃんに熱っぽい顔してたから帰したと言われた。

店終わったらいくつもりだったけど、代わりに行ってほしいと言われ、教えて貰った部屋番号の前でインターホン押すも返事はない。

ダメもとでドアに手を掛けると開いたのには吃驚した。

不用心すぎるだろ。

そっと中を除くと靴を履いたまま廊下に倒れてたんだ。

慌てて近寄り声を掛けると息はあるけど、渚の身体は恐ろしく熱かった。

靴を脱がせてベッドまで運ぼうとしたけど、彼女の部屋に来るのは初めてでどこがベッドか分からないから、近いドアから片っ端から開けていくと、一番奥のリビングの横の部屋だった。

コートも着せたままベッドに寝かせて、鞄から鍵を借りて薬や食料を買いに行ったんだ。

急いで戻って食料や飲み物を入れるのに、開いた冷蔵庫は俺が固まるほど何も入っていなかった。

「え……」

あるのはビールとお茶が数本のみ。

他は一切なく冷凍庫には氷しかない。

野菜室なんか空っぽで、こんな冷蔵庫がいるかって言うぐらい何もなかった。

予想してある程度は買ってきたから良いけど、まさかここまでとは思わなかった。
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