不器用なキミ~向日葵の恋~
部屋に戻りキッチンで見つけた、たった一つしかない小さなお鍋におかゆを作り終えた頃、美月ちゃんが戻ってきて

「ちょっと着替えさせてきますね」

「はい」

彼女の着ていた服を両手に抱えて出てきた彼女は、そのまま洗濯しちゃいますねと言ってバスルームに向かったんだ。

その間にコーヒーでもと思い、先ほど見つけたインスタントコーヒーのカップ付のセット。

コーヒーすらカップで飲まずこれで飲むのか。

家に居るのにキャンプ状態だな。

そう思ったら可笑しくて思わず笑ってしまった。

「ふっ」

「何笑ってるんですか?」

「コーヒー入れますね」

「ありがとうございます」

生活感はないけど、電化製品だけ充実している彼女の家はやっぱり不思議だった。

「酷くてびっくりしました?」

「え?」

「この家」

「あーまぁ……」

「食器みました?キャンプかよっ!?って思うでしょ?」

「ふはっ」

やっぱりみんな同じ事思うんだ。

付き合いの長い美月ちゃんでもそう思うんだ。
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