不器用なキミ~向日葵の恋~
「違います。海里さんの所為ではないから安心してください」

「でも」

「昔からなんです。あの子の考え方は、仕事が充実してるからプライベートも充実する。仕事が上手く行ってないのにプライベートが上手く行くわけない。そういう考え方なんです」

「……はぁ」

「だからね。海里さんと恋愛をしてると言う事は、あの子の仕事が充実してると言う事なんです」

「……そうなんですか?」

「そう。どうせ時間があればあるだけ仕事しちゃうから」

「……ふっ」

そう言われて少しは、心が楽になったかも。

「だけどたまに思います。この仕事を誘った私が悪いのかなぁって、あの子が体調崩す度に思います。普通のOLなら時間内の仕事で済んだじゃない?って、受注が入るたびに思うんです。また無理させるなぁって……海里さんにも心配かけちゃって……すみません」

「いえ……僕は、そんな不器用で真直ぐな彼女が好きです。確かには?え?って思う事いっぱいあるけど、真直ぐに生きる彼女に惹かれてしまいます」

「……渚をよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

コーヒーを飲みきった美月ちゃんは、洗濯物お願いしますって笑って帰って行ったんだ。

寝室で苦しそうな呼吸をして眠る彼女を見て思う。

馬鹿みたいに不器用なんだと……仕事と俺に時間を割いて身体壊してちゃ意味ないじゃん。

もっと自分の事を大切にすれば良いのに。

そう言えば、出会った頃に比べると痩せて細くなってしまった彼女の腕を掴むとまだまだ熱は下がらなさそうだった。
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