不器用なキミ~向日葵の恋~

渚side

ガチャン

彼の部屋の玄関が閉まる音が、まるで終わりを告げる鐘のように聞こえる。

あまり泣かない私の目にも涙が湧き出てるのだと思う。

だってだんだん視界が歪んできたから……だけど泣いちゃだめだ。

泣く資格なんて私にはない。

だってこうなるのは自業自得だ。

緊急な会議だって断ろうと思えば断れた。

甘かったんだ……。

すぐに終わると思ってた。だけど想像してた以上に時間がかかってた。

だけど日が変わる前に彼の誕生日中に……そう思ったから途中で具合が悪くなったと、小学生の言い訳みたいな理由で会議を抜けて、開いているケーキ屋さんを探して探して探しまくってようやく歌舞伎町で見つけたケーキ屋さん。

バースデーケーキはやっぱりホールが良い。

私の拘りだった……蝋燭を刺してお祝いして一気に消す。

やっぱりこれが出来るのはホールケーキだけだと思うから。
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