不器用なキミ~向日葵の恋~
その日の店には美月ちゃんしかいなくて、仕入れに買い物に行ってるって言われたから出直そうと思ったけど、美月ちゃんが待ってて欲しいと言うから、きっと何かあるんじゃないかって思ったんだ。

「そこで少し待ってて頂けますか?これもうすぐ仕上がるんで」

そう言って店の奥にある工房のソファに腰を下ろした。

美月ちゃんはまだ冬だと言うのに、大きさの違う向日葵の花をたくさん並べてフォトスタンドを作成していたようだった。

「向日葵ですか?」

「少し早いんですけどね。夏に販売するように」

「そうなんですね。向日葵って見てるだけで元気になりますよね」

「お好きなんですか?」

「……好きなのかな?」

「夏の代表で元気の象徴みたいに向日葵って思われてるでしょ?だけど本当は哀しい花なんですよ?」

「……え?」

向日葵が哀しい花?

そんな事聞いたことが無かった。

黄色い大きな花は、元気で夏にピッタリだと思ってたから。
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