不器用なキミ~向日葵の恋~
「ギリシャ神話なんですけどね。海の精が太陽神に恋をするんです。だけど太陽神は女神を愛してて、失恋した海の精は昼も夜もずっと太陽神を見上げてたら、やせ細り足に根が生えて、最後は向日葵になってしまったんです。だから向日葵は太陽に向かって花を開くんです。今でも叶わぬ恋だと分かっていても太陽神を追い求めてる。その恋が実ることは無く永遠の片思いなんです。そんな神話がある哀しい花なんです」

「……そうなんだ」

「だから花言葉は、あなただけを見つめる」

「あなただけを見つめる……」

「そう……一見明るそうに見える花でも、本当はどうか分からないもんですね」

「……」

ただ茫然としていた。

何だか僕らに似てる気がして。

ずっと彼女だけを見てきた。

だけど彼女はもう違う方を見てると言う事なのか。

これが偶然なのか必然なのか。

なぜ美月ちゃんはこんな話を僕にしたのだろう。

最後の言葉の意味は……何?
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