不器用なキミ~向日葵の恋~
「もしもし、美月?」

「うん」

「まだ行きたいところあるから、時間来たら店閉めて帰ってて良いから」

「まだかかりそうなの?」

「うんもうちょっとだけ。家にも材料運びたいし、ちょっと遅くなると思うけどそっちには寄るから」

「分かった」

「着く前電話する」

「はーい」

どうしても今日中に手に入れたい糸がある為に、何軒も店を回って目当ての物を探していた。

何十軒も回って漸く見つけた時には、すっかり夜になっていた。

「美月?」

「着いた?」

「やっと買い出し終わったんだけど、遅くなってごめんついでに、本屋さんに寄ってからそっち行く」

「ふふっ分かった」

「ごめーん。じゃ後で」

「はーい」

いつもの事だから、美月も慣れているんだろう。

毎度毎度、夜まで掛かってしまう私の仕入れは目当ての物を仕入れるまでは、何軒でも回ってしまう事を理解してくれている。

だからいつもの事だと笑うんだ。
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