不器用なキミ~向日葵の恋~
「あっ……」

「あっ、ごめんなさい。ぼーっとしてて」

「……いえ」

呑気に挨拶してる場合じゃなく、二人して慌てて拾ったけど、雨で少しだけ濡れていた床に落ちた本がほんの少しだけ濡れてしまっていた。

「すみません。これ弁償します!ごめんなさい」

「……え、あっいいですよ。これぐらい」

「でも買ったばかりですよね?」

「そうですけど、大丈夫です」

「でも……」

あまりにも言うから、鞄からタオルハンカチを出して雑誌を拭いてみせると

「ほら、大丈夫」

「……はぁでも」

「気持ちだけ、ありがとうございます」

「……」

見た目冷たそうで近寄りがたいくらいのイケメンで若い感じなのに、ちゃんと謝罪が出来る一面が見れて、何だか心が温かくなったりして。

やっぱり日本って良いなぁって思う。

最近の若者はって言われがちだけど、全てが取り上げられてるようなマナーを無視するような若者ばかりじゃないぞ日本って、こんな時は特に思う。
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