不器用なキミ～向日葵の恋～
「だからいきなり呼んでって言われても呼べないよ」

「そっか……分かった」

こんな事言われたの初めてかも。

確かに彼女の言う事は凄く分かる。

今までの女性はすぐに呼んでくれてたけど、言われてみれば会ったのは４度でも、そのうち２回は偶然で、ちゃんと会って話をしたのは今日で２回目だった。

ずっと彼女の事ばかりを考えていた僕は、すっかりそんな事も忘れていたんだ。

それに彼女の気持ちが分からないどころか、僕の気持ちすら伝えてもないのに。

いきなり距離を縮めようとして、僕はなにやってんだ……。

……だけど……やっぱり。

それでも呼んでほしかったな……。

呼び捨てにしないと言う事は、彼女の名前も呼び捨てで呼ぶなって事だと思うし、そう考えたらずんっと心が沈んだ。

なんだかラインをビシっと引かれた感じで、そのラインを越えられる日が来ないような気がして……。
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