不器用なキミ~向日葵の恋~
「でも、止みませんね」

「えっ」

申し訳なさそうにして立ってるから、このまま雨宿りするなら、ほんの少しの時間でも気まずいのがなんか嫌で、話しを変えようと思い、指を外に向けた。

「ゲリラ豪雨って困りますよね」

「ですよね。あの、雨がやむまで待ってますか?」

「ゲリラならすぐ止むかと思って」

「そしたら……ちょっと待ってて」

振り返ると、ビルの中に走って消えてしまった。

「なんだろ?」

少しすると、雨粒が徐々に弱くなってきて、もう少し弱くなったら行こうか……なんて真っ黒な空を見上げながら考えてると、後方からバタバタと足音が聞こえた。

振り返ればさっきまでそこに居た彼がいて

「っこれっ……はぁはぁ」

息を切らしながら差し出してくれたのは、本屋さんの紙袋

「もらってきてくれたんですか?」

「はぁはぁっっだって僕の所為だから」

なんか凄く良い人なんだけど。

しかも僕って……絶対俺だと思ってた。

見た目で判断しちゃダメよって、親に言われてたけど、確かにそうだなって今日ほど思った事ないかも。

だってそんな風にする人とは思えないぐらい、綺麗だけど冷たい感じがしたから。
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