珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「私、用事が出来たから帰る。カフェオレ、ご馳走さま」
そう言うとカウンターチェアを滑り降りた。
引き戸へと向かおうとすると、彼が「また来いよ」と誘った。
それに答えず、店の中から敷居を跨ぐ。
その足元を見てると涙が滲み、ぐっと唇を噛みながら足を前に運んだ。
外へ出ると、つい習慣で庭の一角を見遣る。
桜が植えてあった辺りを視界に入れ、押し迫ってくる様な胸の痛みを感じた。
あの桜が此処にある時が幸せだった。
だけど、やはり急に無くなった___。
胸を狭まらせながら足を踏み出そうとする。
この一歩の先が続くとは、誰にも皆、分からないんだ………。
うるっと視界が歪み、こぼれ落ちて来そうなものを堪えようと顔を上げた瞬間___
ぎゅっと後ろから抱き付かれてギョッとした。
その途端に目の中から涙の粒が零れ落ちた。
「えっ…」
何が起こったのか理解が出来ず、間抜けな声を発した。
「あっ、ごめん!」
抱き付いてた人の腕が離れ、私は一気に涼しくなってく体温を感じる。
そう言うとカウンターチェアを滑り降りた。
引き戸へと向かおうとすると、彼が「また来いよ」と誘った。
それに答えず、店の中から敷居を跨ぐ。
その足元を見てると涙が滲み、ぐっと唇を噛みながら足を前に運んだ。
外へ出ると、つい習慣で庭の一角を見遣る。
桜が植えてあった辺りを視界に入れ、押し迫ってくる様な胸の痛みを感じた。
あの桜が此処にある時が幸せだった。
だけど、やはり急に無くなった___。
胸を狭まらせながら足を踏み出そうとする。
この一歩の先が続くとは、誰にも皆、分からないんだ………。
うるっと視界が歪み、こぼれ落ちて来そうなものを堪えようと顔を上げた瞬間___
ぎゅっと後ろから抱き付かれてギョッとした。
その途端に目の中から涙の粒が零れ落ちた。
「えっ…」
何が起こったのか理解が出来ず、間抜けな声を発した。
「あっ、ごめん!」
抱き付いてた人の腕が離れ、私は一気に涼しくなってく体温を感じる。