珈琲プリンスと苦い恋の始まり
この間からそれだけは変わらない。
彼女がこの店に初めて来た時から。
「それに、あの態度…」
気になると呟きながら歩き出す。
母親からかかってきた電話に出た彼女は、明らかに不貞腐れ気味で機嫌が悪かった。
冷めてると言うか、まるで反抗期の子供みたいな雰囲気で話していた。
「本当に自分の親なんだよな?」
血の繋がった…と考えつつ、あれは母親に対して取る態度じゃないなとも思う。
面倒くさそうで、嫌々に相手をしてやってるような雰囲気で、見てるこっちが(それでいいのか?)と思うくらいのトゲトゲしさだった。
電話口からは「お父さん」という声が聞こえていた。
誕生日だと言われて、ケーキを受け取りに行くと言ってはいたが……。
「自分に名付けてくれた人の誕生日にしては、嫌そうな態度だったな」
急いで電話を切ると、お礼を言って店を出ようとしたけど、敷居を跨ごうとする彼女の横顔が悲しそうに見えて、ドキッと胸が弾んだ。
敷居を跨いで歩き出した彼女の背中が小さかった。
暗くなり始めた庭の空気に溶けてしまいそうで、思わず駆け寄って抱き締めてしまった……。
彼女がこの店に初めて来た時から。
「それに、あの態度…」
気になると呟きながら歩き出す。
母親からかかってきた電話に出た彼女は、明らかに不貞腐れ気味で機嫌が悪かった。
冷めてると言うか、まるで反抗期の子供みたいな雰囲気で話していた。
「本当に自分の親なんだよな?」
血の繋がった…と考えつつ、あれは母親に対して取る態度じゃないなとも思う。
面倒くさそうで、嫌々に相手をしてやってるような雰囲気で、見てるこっちが(それでいいのか?)と思うくらいのトゲトゲしさだった。
電話口からは「お父さん」という声が聞こえていた。
誕生日だと言われて、ケーキを受け取りに行くと言ってはいたが……。
「自分に名付けてくれた人の誕生日にしては、嫌そうな態度だったな」
急いで電話を切ると、お礼を言って店を出ようとしたけど、敷居を跨ごうとする彼女の横顔が悲しそうに見えて、ドキッと胸が弾んだ。
敷居を跨いで歩き出した彼女の背中が小さかった。
暗くなり始めた庭の空気に溶けてしまいそうで、思わず駆け寄って抱き締めてしまった……。