珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「どうしてまた…!」


母はそう言うと、ぎゅっと力の限り私を抱き、何度も何度も「愛花!」と叫んだ。

昇平さんも私のことを見つめて、辛そうな表情をしていた。


……私には、母の声に答える気力が無かった。

ただぼうっとして、眠るように死んでる祖母の顔をじっと見続けてるのが精一杯だった。


葬儀の場では、誰も彼もが「一度ならず二度までも」と言った。

「血筋なのかね」と囁く声も聞こえ、血筋なら自分もいつか同じ様な死に方をするのかな…と感じた。



祖母が亡くなり、空虚な気持ちのまま、あの家を出なければいけなくなった。


中学生の私が一人で住み続ける訳にもいかず、自分の意思を母や昇平さんに告げることも出来ないうちに、今のこの家に迎え入れられたんだ。


それこそ、生活が全部一変した。
学校も変わって友達もいなくて、部活をする気にも勉強をする気も無くした。


毎晩ちっとも眠れなくて、授業中はずっと眠くて。
だけど、夜になると目は冴えて、やたらと大声で叫びたくなった。


食欲も湧かない私を心配した母達は、病院へ行こうと言って連れて行った。

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