珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「…そうだ。親父」
社長とは呼ばず、親父と言いながら振り返る俺を、父は苦笑気味に見ている。
そんな顔に目を向け、ずっと気になっていたことを訊ねた。
「立地条件を確認しに行った時、あの店の敷地に桜の木はあったか?」
問いかけられた親父は一瞬ぽかんとして、目線を上に向けながら考え込んでいた。
「……そう言えば、あったような気がするぞ。結構な老木で、海を見るには邪魔だなと感じた」
それがどうした?と目線を下げて訊き返す。
俺はその顔を見つめ、「いや、いいんだ」と声を返した。
部屋を出て行きながら、親父は桜の木の存在を確認してはいたんだ、と思う。然し乍ら、その後それをどうしたのかまでは、どうもタッチをしていないみたいだ。
(…とすると、桜の行方を知ってるのは誰だ……)
思いながら玉木さんと秘書室へ行き、彼が電話している先の答えを待つ。
出店計画を立てているのは、オフィス内にある『開発部』のメンバーだ。
どうやらそこの部長に向け、電話をかけているらしい。
社長とは呼ばず、親父と言いながら振り返る俺を、父は苦笑気味に見ている。
そんな顔に目を向け、ずっと気になっていたことを訊ねた。
「立地条件を確認しに行った時、あの店の敷地に桜の木はあったか?」
問いかけられた親父は一瞬ぽかんとして、目線を上に向けながら考え込んでいた。
「……そう言えば、あったような気がするぞ。結構な老木で、海を見るには邪魔だなと感じた」
それがどうした?と目線を下げて訊き返す。
俺はその顔を見つめ、「いや、いいんだ」と声を返した。
部屋を出て行きながら、親父は桜の木の存在を確認してはいたんだ、と思う。然し乍ら、その後それをどうしたのかまでは、どうもタッチをしていないみたいだ。
(…とすると、桜の行方を知ってるのは誰だ……)
思いながら玉木さんと秘書室へ行き、彼が電話している先の答えを待つ。
出店計画を立てているのは、オフィス内にある『開発部』のメンバーだ。
どうやらそこの部長に向け、電話をかけているらしい。