珈琲プリンスと苦い恋の始まり
幸せは手の届かない場所へ
菩提寺のお墓に花を供え、一人静かに手を合わせた。
職場に頼んで時間給を貰い、毎月こうやってお参りに来ている。
(今月も来れたよ。おじいちゃん)
守ってくれてありがとう…と思いながらじっくりと拝んでいると、背後から近付いてくる足音に気づいた。
「またお参りですか。愛花さん」
振り返って見ると、法事帰りと思われる副住職の真壁(まかべ)さんが立っている。
「毎月感心ですね」
彼はそう言うと、自分も手を合わせてもいいですか?と訊いてきた。
「どうぞ」
墓前を開け、彼は小さくお辞儀をすると、お墓に歩み寄って手を合わせた。
「南無…」と念仏を唱える声には深みがあり、神妙さが増してくる。
それを胸の奥で受け止めるようにして聴きながら、振り返った真壁さんに向いてお礼を言った。
「いつも有難うございます。お墓を守って下さって」
今となっては、このお墓が私の実家だ。それを大事にしてくれているこのお寺の方達には、いつも足りないくらいの感謝を感じてる。
「そんなの当然のことですよ。大事な檀家さんのお墓だからね」
職場に頼んで時間給を貰い、毎月こうやってお参りに来ている。
(今月も来れたよ。おじいちゃん)
守ってくれてありがとう…と思いながらじっくりと拝んでいると、背後から近付いてくる足音に気づいた。
「またお参りですか。愛花さん」
振り返って見ると、法事帰りと思われる副住職の真壁(まかべ)さんが立っている。
「毎月感心ですね」
彼はそう言うと、自分も手を合わせてもいいですか?と訊いてきた。
「どうぞ」
墓前を開け、彼は小さくお辞儀をすると、お墓に歩み寄って手を合わせた。
「南無…」と念仏を唱える声には深みがあり、神妙さが増してくる。
それを胸の奥で受け止めるようにして聴きながら、振り返った真壁さんに向いてお礼を言った。
「いつも有難うございます。お墓を守って下さって」
今となっては、このお墓が私の実家だ。それを大事にしてくれているこのお寺の方達には、いつも足りないくらいの感謝を感じてる。
「そんなの当然のことですよ。大事な檀家さんのお墓だからね」