珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「今の君の状態では帰りも運転させるなんて恐い。今日は帰りも迎えに行ってあげる。
何なら家まで送り届けてやって、明日の朝も迎えに行ってやるよ」


何処までもサービスしてやるという様なことを言えば、流石にプッと吹き出された。


ククク…と苦笑して涙を拭い、「それだけは困る」と断った。

 
さっきと同じように左頬に笑窪が現れる。

それが何とも言えず可愛らしくて、俺はそっと手を伸ばして彼女の頬に触れた。


振り返った彼女が大きく目を見開いてる。

その顔を見てると、何かが大きく押し寄せてくるのを覚えた。



「あの…」


小さな声に反応するかのように擦り寄り、チュッと立てて唇に吸い寄る。

それを驚いたまま彼女が受け止めてしまい、俺達はお互いにハッとして__。



「ごめん!」

「…いえっ!」


パッと身を離して「行こうか」と椅子を滑り降りる。

彼女は顔を伏せたまま「うん」と頷き、「珈琲ご馳走さまでした」と声を漏らした。


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