珈琲プリンスと苦い恋の始まり
だから、何をされても仕方ないんだ…と諦めるしかなかった。



もう二度と来ないつもりで店を飛び出した。

私はまた、大事なものを無くしたんだ…と激しく落胆した__。




(そう。それをあの人が理解してくれてたから……)


真摯に謝ってる姿を見てたら涙が出たんだ。
胸が一杯になって、いろんな感情が溢れ返った。


まるで父みたいに思える人に昔あった出来事を話して聞かせた。
話し出すと止まらなくなって、泣きながらずっと話してしまった。



(それできっと同情されたんだよね)


此処まで送ると言ってくれたり、何故だか知らないけどキスまでされて。


(やだ…思い出したら顔が熱い…)


あれがファーストキスだったんだけどな。
だけど、あんな弾みのようにされてしまい、おまけに謝られてしまった。


(あれってテレ隠し?それとも、する気もないのにしたから謝ったの?)


多分後者よね…と声を吐き出す。

帰りは気丈に振る舞わなきゃ…と気を取り直し、スゥ…と息を吸い込んでから建物内へと向かって行った___。


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