珈琲プリンスと苦い恋の始まり
死は終わりなんかじゃない。
（もう、この人何なの！？急に名前で呼び出したり、髪にキスなんかして…）


チュッと生々しい音を思い出し、ゾクッと言うか妙な気分に陥る。同じ車内に乗ってるのが息苦しい様な気分もしてきて、妙に落ち着かなくてソワソワした。


「……ねぇ、愛花さんはさ」


馴れ馴れしく話しかける相手を睨むように目を向けると、ハンドルを操作してる彼はこう言った。


「ご両親のことがあまり好きじゃないのか？」


そう訊ねてきて、ちらっと目線をこっちに流す。
私は一瞬固まって答えられず、前を向き直りながら俯いた。


「……別に、嫌いでも何でもないけど」


曖昧な答え方をすると、ふぅん…と納得がいかない様な返事。
そんな声を出されても困ると思い、貴方には関係ないことでしょ、と意見した。


「私が親と不仲でも別に構わないでしょ。第三者の貴方には関係ないことなんだから」


それに別に不仲でもないし…と頭の中で言い訳をした。

私はただ、親とは関わりもなく生きたいだけだ。
どちらが先に死んでもいいように、あっさりとした付き合いをしておきたいだけ。

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