珈琲プリンスと苦い恋の始まり
(あの人が『死は終わりじゃない』とか言うから…)


前向きに生きろ、と言われた様な気がしてしまった。

これまで誰もそんな言葉を言う人がなくて、私の気持ちが切り替わらなかっただけなんだろうか。


(それともあれ?あの人が、何処かお父さんに似てるから?)


それもあり得る…と思ってベッドに伏せた。
彼にキスされた場所が熱く感じだして、(馬鹿馬鹿!)と自分を詰る。


あれ程彼の前では気丈でいようと思ったのに、やはりどうしても感情的になってしまった。

彼が言う言葉が一々癇に障り、冷静な態度が取れなかった。


二度も彼の前で泣いてしまうなんてどうかしてる。
自分の生き方を誰にも話したことがないのにしてしまうなんて……。


(本当に馬鹿だ。何もかも曝け出してしまって)


弱い自分も見せてしまった。
代わりに穏やかそうな人が怒るところも初めて見たと思うけど。


(あの人って、好奇心が旺盛なだけじゃないのか。案外と熱血的で、情熱家なのかもしれない)


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