珈琲プリンスと苦い恋の始まり
でも、それを今直ぐ変えることは難しい。
自分の中の恐怖心がなくならない限りは無理だと感じて、昨夜もそう結論付けた。


「じゃあ少しは考えが変わった?」


喜ばしそうな声を出す彼に首を振り、「別に」とクールに否定した。


「急には絶対に無理。貴方には想像できない様な恐怖を私は二度も体験したんだから」


それを理解なんて出来ない。
出来たら凄いとすら感じる。


「そうだよな」


彼は溜息混じりに呟いた。
でも、自分は君の気持ちを変えたいと言い、その為には何でもしたいと言い張った。


「どうしてそんなに?」


困ると思いつつ声を返すと、彼は微笑んで。


「昨夜も言っただろ。俺は愛花さんが好きなんだよ。
君のことなら何でも知りたいし、君のことをもっと深く理解したい。

泣くなら寄り添ってあげたいと思うし、慰さめてもやりたい。

君が笑うなら一緒に笑いたいし、喜びも一緒に分け合いたいと感じてる」


君には迷惑だと言われても…と言葉を先取りしてしまい、私は思わず閉口した。


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