珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「俺のことを今直ぐ好きになって欲しいとは言わないよ。君には自分のことを何も教えてないからな」


「私は別に貴方のことを知らなくてもいいけど」


「そんな冷たいこと言うなよ。俺は君を本気で好きだと言ったばかりなんだよ?」


瞬く間に失恋なんて御免被ると言いだす。
私はそれに呆れ返り、「勝手に言ってれば!?」と突き放した。


「じゃあ君に会う度に好きだと言ってもいいか?」


「それ本気で言ってるの!?貴方の頭、何処か変なじゃないの!?」


「変じゃないよ。それくらい本気だと教えてるだけだ」


「…もう、話にならない」


呆れると言ってそっぽを向いた。
彼は自分が勝った…と喜び、このまま職場まで送るよ、と言いだした。



「ちょっと!」


私の車は…と弱って反論すると。


「帰りも迎えに来るよ。そのまま店まで来て乗って帰ればいいだろ?」


そうすれば私に何度も会えるから、と目論見を話して、私は他に術が無いから彼の言うことに従う以外の方法もなくて。


「……もう、貴方には負ける」


< 198 / 279 >

この作品をシェア

pagetop