珈琲プリンスと苦い恋の始まり
流石に白旗を挙げたい気分だった。
彼は微笑むと私の髪の毛に触れ、サラッと撫でて囁いた。
「今の君は可愛いよ」
近付いてこようとするから手で止めた。
真っ直ぐ前を向いて運転して、と願い、大きく溜息を吐いて送られた。
(本当に、この人には参る……)
『悠々』の正面玄関前まで送られ、はっ…と短い息を吐いた。
クラクッションを鳴らして去っていく車体の背中を見送りながら、それでも少し可笑しかった。
クスッと笑い出しそうになってしまう。
そういう呑気な場合じゃないのに、どうしても憎めない気持ちが湧いていた。
(私みたいに面倒な人間を好きだと言うなんて変わってる)
面白い人だ、と少し興味を覚えた。
人に、しかも男性に興味を覚えるなんて、これまで無かったことなのに。
(あの人が強引だからよ)
そう思いながら玄関を入る。
まだ事務所に誰も来ていないことを確かめながら足を進ませ、改めて「良かった…」とホッとした__。
彼は微笑むと私の髪の毛に触れ、サラッと撫でて囁いた。
「今の君は可愛いよ」
近付いてこようとするから手で止めた。
真っ直ぐ前を向いて運転して、と願い、大きく溜息を吐いて送られた。
(本当に、この人には参る……)
『悠々』の正面玄関前まで送られ、はっ…と短い息を吐いた。
クラクッションを鳴らして去っていく車体の背中を見送りながら、それでも少し可笑しかった。
クスッと笑い出しそうになってしまう。
そういう呑気な場合じゃないのに、どうしても憎めない気持ちが湧いていた。
(私みたいに面倒な人間を好きだと言うなんて変わってる)
面白い人だ、と少し興味を覚えた。
人に、しかも男性に興味を覚えるなんて、これまで無かったことなのに。
(あの人が強引だからよ)
そう思いながら玄関を入る。
まだ事務所に誰も来ていないことを確かめながら足を進ませ、改めて「良かった…」とホッとした__。