珈琲プリンスと苦い恋の始まり
その二週間後、出張喫茶店が休業すると聞いた。
マスターの都合みたいよ、と梨華が言うから、何だか気になって退勤後に店に向かった。
(何だ。店は開いてるじゃない)
道沿いに幟は立ってる。
風邪でも引いたから来るのを控えたのかな、と思い、敷地内にある駐車場に車を止めて店に入った。
「いらっしゃいませ」
眼鏡をかけた男性に迎えられ、「え…」と声を発する。
カウンターの奥に立つ人は彼ではなく、全然見たこともない人が、黒い店のエプロンを身に付けていた。
「あの…」
あの人は…と問いかけそうになり、思わず唇を閉ざす。
此処に彼が居ることがいつの間にか私の中では当たり前になってることに驚き、自分でも声が出せずに唇を手で覆った。
「愛花ちゃん」
聞き慣れた声に振り向いた。
奥のテーブル席には『悠々』で働く調理員さん達がいて、「こっちにおいでよ」と手招きされる。
私はちらっとカウンターの中にいる人に目を向け、「珈琲を一つ」と願って皆のいるテーブルへ向かった。
マスターの都合みたいよ、と梨華が言うから、何だか気になって退勤後に店に向かった。
(何だ。店は開いてるじゃない)
道沿いに幟は立ってる。
風邪でも引いたから来るのを控えたのかな、と思い、敷地内にある駐車場に車を止めて店に入った。
「いらっしゃいませ」
眼鏡をかけた男性に迎えられ、「え…」と声を発する。
カウンターの奥に立つ人は彼ではなく、全然見たこともない人が、黒い店のエプロンを身に付けていた。
「あの…」
あの人は…と問いかけそうになり、思わず唇を閉ざす。
此処に彼が居ることがいつの間にか私の中では当たり前になってることに驚き、自分でも声が出せずに唇を手で覆った。
「愛花ちゃん」
聞き慣れた声に振り向いた。
奥のテーブル席には『悠々』で働く調理員さん達がいて、「こっちにおいでよ」と手招きされる。
私はちらっとカウンターの中にいる人に目を向け、「珈琲を一つ」と願って皆のいるテーブルへ向かった。