珈琲プリンスと苦い恋の始まり
無くさないで。
彼が店を去ってから、私は直ぐに電話番号を着信拒否設定にした。
彼からの電話を受けても会えないなら同じだと思い、それからは腑抜けた生活を送った。
朝からぼうっとして起き、目も虚ろなままで食事する。
それを眺める母や昇平さんの顔も気にせず、「何かあったの?」と問う声にも、「別に何も」と曖昧な答えだけを返してた。
仕事へ行っても笑えない。
敏感な利用者の中には、私に近付くのを避ける人も出始め、流石にこのままでは駄目だ…と感じだした。
何とかして仕事だけでも頑張らないといけない。
そうしないと、生きてる意味もなくなってしまう。
焦り始めた頃、父の月命日が来てお墓参りをした。
丁度お盆休暇と重なり、ゆっくりと手を合わせていた。
「熱心ですね」
背後から声をかけられ振り向くと、菩提寺の副住職の真壁さんが立ってる。
私は曲げてた膝を伸ばしながら立ち上がり、「こんにちは」と軽い会釈をした。
「毎日暑いですね。それでも欠かさずにお参りに来られて感心しますよ」
彼からの電話を受けても会えないなら同じだと思い、それからは腑抜けた生活を送った。
朝からぼうっとして起き、目も虚ろなままで食事する。
それを眺める母や昇平さんの顔も気にせず、「何かあったの?」と問う声にも、「別に何も」と曖昧な答えだけを返してた。
仕事へ行っても笑えない。
敏感な利用者の中には、私に近付くのを避ける人も出始め、流石にこのままでは駄目だ…と感じだした。
何とかして仕事だけでも頑張らないといけない。
そうしないと、生きてる意味もなくなってしまう。
焦り始めた頃、父の月命日が来てお墓参りをした。
丁度お盆休暇と重なり、ゆっくりと手を合わせていた。
「熱心ですね」
背後から声をかけられ振り向くと、菩提寺の副住職の真壁さんが立ってる。
私は曲げてた膝を伸ばしながら立ち上がり、「こんにちは」と軽い会釈をした。
「毎日暑いですね。それでも欠かさずにお参りに来られて感心しますよ」