珈琲プリンスと苦い恋の始まり
盆法要の帰りだと言う彼は、夏用の薄い衣を身に付けてる。
だけど、短く切った髪の毛や額には汗が光り、仕事とは言え、大変そうだな…と窺った。
「自分にもお参りをさせて貰えますか?」
墓前で会うと、必ず彼はそう言う。
私は「いつも有難うございます」と頭を下げ、代わって墓前に佇む彼の横顔を拝見した。
いつもよりも長い念仏を唱える真壁さんの額から、汗の雫がスーッと流れ落ちる。
それを見てると美しいな…と感じ、思わずその滴をカメラに収めてみたい…と思った。
「どうかしました?」
ぼうっと彼のことを見てたもんだから、振り返って不思議そうに訊いてくる。
私は慌てて我に返り、「いいえ」と声を発して、「別にどうも」と曖昧に笑って答えた。
「このところ私、少し変なんです」
言わなくてもいいことを口にして、ハッと唇を閉ざす。
真壁さんはクスッと笑うと「変ですか?」と訊き返し、「何かありましたか?」と問い合わせてきた。
私は一瞬、真壁さんのように仏様に仕える人になら、話してもいいのかな…と考えた。
だけど、短く切った髪の毛や額には汗が光り、仕事とは言え、大変そうだな…と窺った。
「自分にもお参りをさせて貰えますか?」
墓前で会うと、必ず彼はそう言う。
私は「いつも有難うございます」と頭を下げ、代わって墓前に佇む彼の横顔を拝見した。
いつもよりも長い念仏を唱える真壁さんの額から、汗の雫がスーッと流れ落ちる。
それを見てると美しいな…と感じ、思わずその滴をカメラに収めてみたい…と思った。
「どうかしました?」
ぼうっと彼のことを見てたもんだから、振り返って不思議そうに訊いてくる。
私は慌てて我に返り、「いいえ」と声を発して、「別にどうも」と曖昧に笑って答えた。
「このところ私、少し変なんです」
言わなくてもいいことを口にして、ハッと唇を閉ざす。
真壁さんはクスッと笑うと「変ですか?」と訊き返し、「何かありましたか?」と問い合わせてきた。
私は一瞬、真壁さんのように仏様に仕える人になら、話してもいいのかな…と考えた。