珈琲プリンスと苦い恋の始まり
俺を呼び止めたのは、あの家のことを訊きに行った『モリモト不動産』の社長だ。
彼は、俺が背か高いもんだから直ぐに目に付きました…と話し、折角ここで会ったので、ついでに教えておきましょう、と胸ポケットに手をやった。
「……何ですか?」
家のことならもう十分に知りましたよ、と言うと、「いや家ではなくて」と笑う。
それじゃ何ですか?と問いかけ直すと、ポロシャツの胸ポケットから名刺入れを取り出し、「これです」と言って一枚の名刺を差し出してきた。
『(株)琴吹グリーン』
そう書かれた名刺を見て、俺はキョトンとしてしまう。
「これが何か?」
そう訊ねると、『モリモト不動産』の社長は大黒様の様に顔を綻ばせ__
「あの桜を切ってくれるように…と、処分を頼んだ会社です」
造園業者は多いらしく、何処に頼んだのかを最近になってようやく思い出したのだそうだ。
「この間、そこの社長に電話をして訊いてみました。
掘り起こした桜の木は既に解体されていて、他の会社へ売り渡してるそうなんですが」
彼は、俺が背か高いもんだから直ぐに目に付きました…と話し、折角ここで会ったので、ついでに教えておきましょう、と胸ポケットに手をやった。
「……何ですか?」
家のことならもう十分に知りましたよ、と言うと、「いや家ではなくて」と笑う。
それじゃ何ですか?と問いかけ直すと、ポロシャツの胸ポケットから名刺入れを取り出し、「これです」と言って一枚の名刺を差し出してきた。
『(株)琴吹グリーン』
そう書かれた名刺を見て、俺はキョトンとしてしまう。
「これが何か?」
そう訊ねると、『モリモト不動産』の社長は大黒様の様に顔を綻ばせ__
「あの桜を切ってくれるように…と、処分を頼んだ会社です」
造園業者は多いらしく、何処に頼んだのかを最近になってようやく思い出したのだそうだ。
「この間、そこの社長に電話をして訊いてみました。
掘り起こした桜の木は既に解体されていて、他の会社へ売り渡してるそうなんですが」