珈琲プリンスと苦い恋の始まり
俺は狼狽えそうになって珈琲を淹れるどころではなくなり、その話は本当なんですか?と訊き直した。
「それを彼女は承諾したんですか?」
「したんじゃない?そういう噂が立ってるってことは、あながち間違いでもないんだと思うよ。
それに、普通に考えても断りにくい話だよ。相手は自分の家族の遺骨を預かるお寺さんなんだから」
はっきりしない答え方にイラッとする。
俺は直ぐにでもこの店から出て行きたくなり、彼女の元へと車を走らせたい心境に陥った。
「私はマスターが愛花ちゃんを気に入ってるみたいだったから、陰ながら応援してやってたのにさ」
あーあ、と声を発しながらも最中に齧り付く。
眉間に皺を寄せて「餡子が甘いね」と評し、「珈琲早く!」とせっついてきた。
俺は珈琲を淹れている様な気分ではなかった。
けれど、目の前にいるお客さんを置いて行くことなど出来ず、仕様がない気持ちのままで珈琲豆を挽いた。
「どうぞ」
目の前にカップを差し出すと山本さんは一口飲み、少し笑ってからこう言う。
「それを彼女は承諾したんですか?」
「したんじゃない?そういう噂が立ってるってことは、あながち間違いでもないんだと思うよ。
それに、普通に考えても断りにくい話だよ。相手は自分の家族の遺骨を預かるお寺さんなんだから」
はっきりしない答え方にイラッとする。
俺は直ぐにでもこの店から出て行きたくなり、彼女の元へと車を走らせたい心境に陥った。
「私はマスターが愛花ちゃんを気に入ってるみたいだったから、陰ながら応援してやってたのにさ」
あーあ、と声を発しながらも最中に齧り付く。
眉間に皺を寄せて「餡子が甘いね」と評し、「珈琲早く!」とせっついてきた。
俺は珈琲を淹れている様な気分ではなかった。
けれど、目の前にいるお客さんを置いて行くことなど出来ず、仕様がない気持ちのままで珈琲豆を挽いた。
「どうぞ」
目の前にカップを差し出すと山本さんは一口飲み、少し笑ってからこう言う。