珈琲プリンスと苦い恋の始まり
賛辞された彼女はそんなことに全く興味がないらしく、椅子をテーブルに戻すと直ぐに「それじゃ失礼します」と会議室を後にした。
「照れちゃって」
藤枝さんはそう言って彼女のことを見送る。
俺には彼女が少しムッとしてる様に見えたんだが、気心の知れている人達には、あの態度が照れに感じられたらしい。
「それじゃあ今後は『古民家カフェ 悠々』ということでいきましょう。マスターもそれで構いませんか?」
「ええ、私は別にいいですよ」
愛想よく調子を合わせて頷く。
皆もそれを聞いて安心したらしく、今後の企画について少し会話をしてセンターを出た。
玄関先で見送られる際、初めて壁に掛かっている桜の写真に気づいた。
それは枝垂れ桜の写真で、タイトルの様に言葉が添えられてあった。
『祖母』
何故その写真が「祖母」になるのかは分からず首を傾げた。項垂れた枝の雰囲気が、年寄りの様にも見えているからだろうか。
「……何か?」
俺を見送ろうとしていた藤枝さんが訊ねる。
俺は視線を彼女に移し、「いえ」と短く答えて頭を下げた。
「照れちゃって」
藤枝さんはそう言って彼女のことを見送る。
俺には彼女が少しムッとしてる様に見えたんだが、気心の知れている人達には、あの態度が照れに感じられたらしい。
「それじゃあ今後は『古民家カフェ 悠々』ということでいきましょう。マスターもそれで構いませんか?」
「ええ、私は別にいいですよ」
愛想よく調子を合わせて頷く。
皆もそれを聞いて安心したらしく、今後の企画について少し会話をしてセンターを出た。
玄関先で見送られる際、初めて壁に掛かっている桜の写真に気づいた。
それは枝垂れ桜の写真で、タイトルの様に言葉が添えられてあった。
『祖母』
何故その写真が「祖母」になるのかは分からず首を傾げた。項垂れた枝の雰囲気が、年寄りの様にも見えているからだろうか。
「……何か?」
俺を見送ろうとしていた藤枝さんが訊ねる。
俺は視線を彼女に移し、「いえ」と短く答えて頭を下げた。