珈琲プリンスと苦い恋の始まり
彼女の車は細い路地を抜けていく。
自分の知らない場所へ向かっているようで、何処へ行くつもりなんだ…と見守った。
脇道から国道に出る際、自分達の車間に別の車が紛れ込んだ。
後を追うにはその方がいいと考え、わざと抜かずにゆっくり走る高齢者ドライバーの後ろに付いた。
彼女の車は、少し先に見える四つ角を右折して行く。
その先には何があるのか知らず、俺はそれに習うように右折のウィンカーを出して曲がった。
『妙経寺』という寺の看板が目に入ってきたのは曲がって直ぐ。
そこが彼女の菩提寺なのかもしれないと思い、ごくっと唾を飲み込んだ。
(ひょっとしたら、婚約者に会いにきたのかも)
昼間の噂が本当ならあり得そうだと思い、半ば覚悟を決める。何があっても冷静に構えて、自分の気持ちだけは彼女に伝えておこうと考えた。
駐車場に向かうと、彼女の車が確かに停まっている。
中を窺うと誰もいない様子で、俺は急いで車を止めるとドアを押し開けて外へ出た。
自分の知らない場所へ向かっているようで、何処へ行くつもりなんだ…と見守った。
脇道から国道に出る際、自分達の車間に別の車が紛れ込んだ。
後を追うにはその方がいいと考え、わざと抜かずにゆっくり走る高齢者ドライバーの後ろに付いた。
彼女の車は、少し先に見える四つ角を右折して行く。
その先には何があるのか知らず、俺はそれに習うように右折のウィンカーを出して曲がった。
『妙経寺』という寺の看板が目に入ってきたのは曲がって直ぐ。
そこが彼女の菩提寺なのかもしれないと思い、ごくっと唾を飲み込んだ。
(ひょっとしたら、婚約者に会いにきたのかも)
昼間の噂が本当ならあり得そうだと思い、半ば覚悟を決める。何があっても冷静に構えて、自分の気持ちだけは彼女に伝えておこうと考えた。
駐車場に向かうと、彼女の車が確かに停まっている。
中を窺うと誰もいない様子で、俺は急いで車を止めるとドアを押し開けて外へ出た。