珈琲プリンスと苦い恋の始まり
何もかも教えるから聞いてくれ…と願う彼を見つめる。

その後ろにいる真壁さんは唖然としていて、私はそれに気づいていながらも、目は彼のことだけを見てた。


「お願いだから!俺は君に、話したいことが山ほどあるんだ!」


必死な顔つきで訴え続ける。


二度と目の前には現れないんだと諦めてた彼が、私を凝視して懸命に訴えてる__。



「あんた…」


真壁さんが少し乱暴そうに声をかけた。
肩を掴む手に力を込めたのか、彼の眉間に皺が寄った。



「……待って」


つい声を発した。
彼が苦しむ様子を目にしたくなくて、「離してやって」と願った。


真壁さんは私に目を向け、沈黙したままで立ち尽くしてる。
そのうち何かを感じ取ったのか手を下ろし、私に向いて「じゃあ…」と言いだした。


「彼に何かされそうになったら必ず呼んで下さい。自分はまだ寺の方に居ますから」


物凄く悔しそうな表情をしてる。
私は「分かりました」と返事をして、「すみません」と謝った。


真壁さんはそれを聞くとぐっと唇を結んだ。
私の目をじっと見つめ直してから背中を向け、ゆっくりと本堂に向いて歩き始めた。


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