珈琲プリンスと苦い恋の始まり
あとがき
五月に不幸事があり、初めて納棺師のお仕事を間近で拝見させて頂きました。

それはとても丁寧で、何度も何度も塗り重ねていくお化粧のテクニックは素晴らしかったです。


私はこれまで何度か死に逝く方を見送ってきましたが、その都度いろんな死に方があり、原因も場所も時間も様々でした。

生あるものは必ず死す。

それが四苦八苦の一つと知っても、堪えられない寂しさと慟哭がありました。


納棺師にメイクされたご遺体は、清らかで美しくて素敵でした。

見たこともない程かっこ良くて、こんな綺麗な人だったのか…と思うくらいに。


でも、私はやはり、生きてるその人と話がもう一度したい。

ちゃんとお礼を言って、そして、いろんな事を話したかった。

その人もきっと、私と同じ気持ちだったろうと思います。

余りにも呆気なく済んだ人生を後悔しても始まらないくらいに落胆しただろうと感じます。


振り返っても時はもう前にしか進まない。

そんなことを教えて貰った出来事でした。

そして、自分の小説の中にその人を棲まわせることで、生きてたんだという実感を得たかった。

永遠に生き続けることが出来ない命へのせめてもの再生を願いました。

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