珈琲プリンスと苦い恋の始まり
出向していた新店からの帰り、空港でこの家を買った不動産屋の社長と出会った。
彼から庭の施工業者を教えて貰い、其処に出向いて行ったら桜を買ったのは家具屋さんだと教えられた。
「真っ直ぐ店に戻らないで其処にも寄ったんだ。そしたらまだ丸太のまま残っててね」
それらを全部買い占め、この店で使える物を作って貰おうと決めたらしい。
「最初は是非、写真を飾るフレームを作って下さい、と頼んでるんだ。『SAKURA』が撮ったフォトをそのフレームに入れて店の壁に飾ろうと思う」
彼は目線を壁に沿わせて動かし、頭の中で想像をしてるみたい。私は茫然としまま、まだ彼の顔を見つめて、あの桜の木がまた此処に戻る……と考えてた。
「嘘…」
無くなってしまった筈のものが還る……?
私は彼と同じ様に目線を壁に向け、「還ってくるの?」と訊いた。
彼は優しい声で「そうだよ」と囁き、私はぼうっとしたまま彼を見上げる。嬉しそうな顔をしてる武斗さんのことを見つめていると、目の中に涙が潤んできてしまい、ぐにゃっと視界がぼやけた。
彼から庭の施工業者を教えて貰い、其処に出向いて行ったら桜を買ったのは家具屋さんだと教えられた。
「真っ直ぐ店に戻らないで其処にも寄ったんだ。そしたらまだ丸太のまま残っててね」
それらを全部買い占め、この店で使える物を作って貰おうと決めたらしい。
「最初は是非、写真を飾るフレームを作って下さい、と頼んでるんだ。『SAKURA』が撮ったフォトをそのフレームに入れて店の壁に飾ろうと思う」
彼は目線を壁に沿わせて動かし、頭の中で想像をしてるみたい。私は茫然としまま、まだ彼の顔を見つめて、あの桜の木がまた此処に戻る……と考えてた。
「嘘…」
無くなってしまった筈のものが還る……?
私は彼と同じ様に目線を壁に向け、「還ってくるの?」と訊いた。
彼は優しい声で「そうだよ」と囁き、私はぼうっとしたまま彼を見上げる。嬉しそうな顔をしてる武斗さんのことを見つめていると、目の中に涙が潤んできてしまい、ぐにゃっと視界がぼやけた。