珈琲プリンスと苦い恋の始まり
驚く俺に「知らなかったのかい?」聞き返す。
頷くと「正面玄関を入って直ぐのところにあるカウンターの上に置かれているよ」と教え、因みに…と言って他の情報も付け足した。
「聞いたところに寄ると、それは愛花ちゃんが自費で作った写真集だそうだよ」
センターに来るお年寄りに向けてだったらしい。
山本さんは「感心な子だろう」と自慢し、俺はそれを否定もせずに「そうですね」と肯定した。
「惚れたらダメだよ」
山本さんはふふっと笑い、「あ、でも、マスターにはいい人が別にいるか」と納得している。
こっちはそれと同類の言葉を再々言われ続けているものだからウンザリし、「さあどうでしょうね」と誤魔化した。
「…チッ、口が固い」
山本さんはカップで口元を隠しながらそんな言葉を吐く。
聞こえてるよ、と言いたくなったが無視をしてると、ボソッと囁くように呟いた。
「……まっ、相手が誰でも、愛花ちゃんのハートは射止められないと思うけどね」
意味深な言葉にちらっと目線を向ける。
俺の目線にはわざと気付かないフリをして、山本さんは珈琲を飲み干して帰って行った。
頷くと「正面玄関を入って直ぐのところにあるカウンターの上に置かれているよ」と教え、因みに…と言って他の情報も付け足した。
「聞いたところに寄ると、それは愛花ちゃんが自費で作った写真集だそうだよ」
センターに来るお年寄りに向けてだったらしい。
山本さんは「感心な子だろう」と自慢し、俺はそれを否定もせずに「そうですね」と肯定した。
「惚れたらダメだよ」
山本さんはふふっと笑い、「あ、でも、マスターにはいい人が別にいるか」と納得している。
こっちはそれと同類の言葉を再々言われ続けているものだからウンザリし、「さあどうでしょうね」と誤魔化した。
「…チッ、口が固い」
山本さんはカップで口元を隠しながらそんな言葉を吐く。
聞こえてるよ、と言いたくなったが無視をしてると、ボソッと囁くように呟いた。
「……まっ、相手が誰でも、愛花ちゃんのハートは射止められないと思うけどね」
意味深な言葉にちらっと目線を向ける。
俺の目線にはわざと気付かないフリをして、山本さんは珈琲を飲み干して帰って行った。