珈琲プリンスと苦い恋の始まり
亡くなった人を思い、自分も空を見上げたのではないか……。
そう思いながらページを捲り続けると、そういう写真が結構多く、しかもどれもが横を向いているものだったり、後ろ姿だったりする。
(どうして横顔や後ろ姿なんだ?)
しかも添えられている言葉は『まだ?』だったり『も少し?』とクエスチョンマークが全部付いている。
正面から撮られているものは植物が多く、それに添えられた言葉の多くは『感謝』とか『包容』といった花言葉みたいな感じで、クエスチョンマークは一つも付いていない。
そして、最後までページを捲って気付いたことがもう一つある。
彼女の写真集には人物が一枚もないということだ。
犬や猫、鳥という生き物がメインで、中には陸ガメの写真なんかもあるんだが、人間は誰一人写ってない。
(どういうことなんだ、これは)
唖然としているとカランとドアベルが鳴った。
顔を上げると『悠々』の社員達で、賑やかしく店に入ってきた。
(あ……)
一番最後に入店してきた人物を見て息を吸う。
肩までのストレートボブの彼女は、あの雨の日に被っていた白いキャップを身に付けていた。
そう思いながらページを捲り続けると、そういう写真が結構多く、しかもどれもが横を向いているものだったり、後ろ姿だったりする。
(どうして横顔や後ろ姿なんだ?)
しかも添えられている言葉は『まだ?』だったり『も少し?』とクエスチョンマークが全部付いている。
正面から撮られているものは植物が多く、それに添えられた言葉の多くは『感謝』とか『包容』といった花言葉みたいな感じで、クエスチョンマークは一つも付いていない。
そして、最後までページを捲って気付いたことがもう一つある。
彼女の写真集には人物が一枚もないということだ。
犬や猫、鳥という生き物がメインで、中には陸ガメの写真なんかもあるんだが、人間は誰一人写ってない。
(どういうことなんだ、これは)
唖然としているとカランとドアベルが鳴った。
顔を上げると『悠々』の社員達で、賑やかしく店に入ってきた。
(あ……)
一番最後に入店してきた人物を見て息を吸う。
肩までのストレートボブの彼女は、あの雨の日に被っていた白いキャップを身に付けていた。