珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「……灯台を写しに行こうかな…と思ってます」
それは咄嗟に出てきた言葉で、思い浮かんだのも、昨夜寝る前に友達からのラインが流れてきて、それに『島の夜景』と称した灯台の写真が貼り付けられてたのを覚えていたからだ。
二本のライトの筋が真っ直ぐと闇の中に浮かび上がり、白いライトの周囲が闇に溶け込んでブルーに輝いて見えていた。
『いいね』と送り返して、自分も近いうちに撮りに行こうと思った。
それがつい口に出たんだ__。
「……でも、本当に来るんじゃなかった」
車外で海風に吹かれながら呟く。
あの人に夢中になって写真を撮っていたところを見つけられて恥ずかしくなり、顔の火照りを冷ましたいから仕様がなく橋を渡った。
そのまま島の突端にある石造りの灯台を目指して道路を走り抜け、いつも撮影をしている海外線沿いに来て、車を停めたまでは良かったんだが。
「さて、どうしようかな」
さっきからカメラは片手に握ってる。
この場所は灯台の横の姿と青白い光が一緒に写せる。
だから、どちらも上手い具合に一枚の中に収まってくれるといいんだけど。