珈琲プリンスと苦い恋の始まり
(この人一体何を考えてるの?)
自分の後ろを付いてくる男性の思惑が分からずに、私は小さく息を吐く。
本当はこんな場所で写真を撮ろうとも思ってなかったのに、どうしてこんなことになるんだろうか。
肩からぶら下げたカメラを握りしめ、潮水の中に落とさないよう注意しながら岩場を歩く。
強い磯の香りがしてる。
岩の上に張り付いたヒジキやワカメから漂ってくるものと思われる。
そう言えば子供の頃、父や母と一緒に自宅近くの岩場でよく遊んだ。
ニイナという食べれる巻き貝を探しながら磯だまりに集まる生物を観て、いろいろと教えて貰ったもんだ。
父は中学の理科教師で、専攻は生物だったから詳しかった。
岩場に生きる貝や海藻の名前、生体なんかを教えてくれたのも父だった。
博識だった父との思い出を振り返ってしまうと、ずぅーんと気持ちが落ち込む。
過去を思い出してしまうから、なるべくこういう場所には来たくなかったのに……。
この人の所為で……と恨めしい気持ちで振り返ると、彼は何故か後を追っても来ないで一ヶ所に立ち止まってる。
自分の後ろを付いてくる男性の思惑が分からずに、私は小さく息を吐く。
本当はこんな場所で写真を撮ろうとも思ってなかったのに、どうしてこんなことになるんだろうか。
肩からぶら下げたカメラを握りしめ、潮水の中に落とさないよう注意しながら岩場を歩く。
強い磯の香りがしてる。
岩の上に張り付いたヒジキやワカメから漂ってくるものと思われる。
そう言えば子供の頃、父や母と一緒に自宅近くの岩場でよく遊んだ。
ニイナという食べれる巻き貝を探しながら磯だまりに集まる生物を観て、いろいろと教えて貰ったもんだ。
父は中学の理科教師で、専攻は生物だったから詳しかった。
岩場に生きる貝や海藻の名前、生体なんかを教えてくれたのも父だった。
博識だった父との思い出を振り返ってしまうと、ずぅーんと気持ちが落ち込む。
過去を思い出してしまうから、なるべくこういう場所には来たくなかったのに……。
この人の所為で……と恨めしい気持ちで振り返ると、彼は何故か後を追っても来ないで一ヶ所に立ち止まってる。