珈琲プリンスと苦い恋の始まり
少なからずは取るだろうけど…と囁く彼の声を聞き、やっぱり面倒くさい人と思った。
「私が撮りたいのは、視線の先にあるものよ。動物や建造物が見つめてるものや指し示してるものを撮りたいの。
それを想像して撮るのが好きなの。自分には見えてないものを教えてくれる様な気がするから」
喋りすぎたな…と思って珈琲を飲み込んだ。
少し冷めた珈琲は、さっきよりも渋みが口に残った。
「ふぅん。そうか…」
彼は納得するように唸ってカメラの画像に目を向け直す。
ちらっとその横顔を見てると父と一緒にいるような気がして、キュン…と胸の奥が鳴った。
鼓動を感じながら店内の至る所に目を向ける。
柱の傷や梁の様子を見てると懐かしさが込み上げてきて、不意に泣き出しそうな気持ちに変わった。
(こんな所で泣いたら変に思われる)
そう思うと涙をなんとか堪えなきゃ…と考え、二階を見遣るように上を向く。
何か別の事でも考えないと…と思ってると、彼が私に訊いてきた。
「君はさっき自分は人間が嫌いなんだと言ったよな。なのにどうして看護師をしてるんだ?」
「私が撮りたいのは、視線の先にあるものよ。動物や建造物が見つめてるものや指し示してるものを撮りたいの。
それを想像して撮るのが好きなの。自分には見えてないものを教えてくれる様な気がするから」
喋りすぎたな…と思って珈琲を飲み込んだ。
少し冷めた珈琲は、さっきよりも渋みが口に残った。
「ふぅん。そうか…」
彼は納得するように唸ってカメラの画像に目を向け直す。
ちらっとその横顔を見てると父と一緒にいるような気がして、キュン…と胸の奥が鳴った。
鼓動を感じながら店内の至る所に目を向ける。
柱の傷や梁の様子を見てると懐かしさが込み上げてきて、不意に泣き出しそうな気持ちに変わった。
(こんな所で泣いたら変に思われる)
そう思うと涙をなんとか堪えなきゃ…と考え、二階を見遣るように上を向く。
何か別の事でも考えないと…と思ってると、彼が私に訊いてきた。
「君はさっき自分は人間が嫌いなんだと言ったよな。なのにどうして看護師をしてるんだ?」