珈琲プリンスと苦い恋の始まり
悪戯っぽい笑みを浮かべる梨華は、今がチャンスよとばかりに私をプッシュする。だけど、私は恋愛なんて興味もないから…と突っぱねた。


「何度も言ってるでしょ。私は人間には興味がないの」


職場の同僚として付き合いだしてからこっち、こういうやり取りは何回かしてる。
梨華はもちろん知ってるけど…と呟き、でもさ…と諦めずに言い重ねた。


「だったら、どうして愛花は看護師をしてるの?人間に興味がないのに看護師をしてるなんて変だよ」


昨日のあの人と同じような質問を繰り返され、またか…と少し呆れる。理由を詳細に話せば、また他の誰かに話されても困ると考え、ありきたりな訳を梨華に教えた。


「あのね、生きてく限りは働かないと駄目でしょ。働くならやり甲斐とか給料も高い方がいいし、一生独身で生きてくと決めてるんだから、手に職を付けてないと困るでしょ」


それで看護師になると決めたと言うと、梨華は眉間に皺を寄せて唸った。


「う〜ん……分かるけど……納得いかない」


自分ならもっと別の仕事を探すなぁ…と呟く彼女に「まあ人それぞれよね」と言葉を返した。

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