その恋に落ちるのは、彼の罠に掛かるということ

「……どうすれば、意識してもらえるのかな？」

意識的に小さくした声でそう尋ねると、島月さんは正面でにんまりと笑った。


「課長みたいなタイプは絶対に女慣れしてるから、小賢しく計算しないで純粋にアタックした方がいい！」

「ちょ、島月さんも声抑えてくれる？ ……で、純粋にアタックというのはどうやれば……？」

「ストレートに食事に誘ったり、映画に誘ったりすればいいと思いますよ！」

「だから声抑えてっ。……ストレートに、か……」

それが出来ないから悩んでいるのだけれど、ストレートに誘うことは間違いではないというアドバイスを受けて、少し安心した部分もある。


そう言えば今週末、営業課と事務課合同の飲み会があったな。
……オフィスでストレートにアタックするのは難しいけれど、飲み会の場でなら……お酒の勢いも借りられそうだし……。


「……ちょっと頑張ってみる。島月さん、ありがとうね」

そう言うと、彼女は明るく「いいえー！ 応援してますから頑張ってください！」と言ってくれた。