その恋に落ちるのは、彼の罠に掛かるということ
【今度の日曜日、デートしましょう】

相田君からそんなメッセージが届いたのは、付き合ってから一週間が経過した平日の夜だった。

そうだよね。付き合っているんだから、デートするのは当然のことだ。


【いいよ】

そう返信してから、何となく思う。〝付き合っているんだから当然のことだ〟と自分に言い聞かせてデートしようとしている気がする、と。
そんな気持ち、相田君に対して失礼だ。それはわかっている。
だけど……そう思ってしまった。
それもこれも、課長があんなキス……するから。
課長のことなんて早く忘れたい。早く相田君のことを好きになりたい。
そう思った瞬間、胸が何故かざわついた。それは、嘘を吐いた時に襲われる罪悪感に酷似していた。
好きになりたいという願望すら嘘なのだろうかと思ったら、罪悪感がますます大きくなった……。



約束の日曜日。相田君とは駅前で待ち合わせして、とりあえず街を歩くことにした。

何も考えずにヒールを履いてきてしまったら、男性にしては背が低めの彼の隣に並ぶと、私の方が頭が若干飛び出している。
だけど彼は嫌な顔一つせず「今日の私服、可愛いですね」と褒めてくれる。優しい彼氏だと思う。
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