惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
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翌日、アルカディアリゾートでの事故についての記者会見が行われた。
不幸中の幸いで亡くなる人が出なかったためマスコミの扱いは小さかったが、テレビのニュース番組でも取り上げられた。怪我をした三人は足や腰に骨折の重傷。陽介さんは広報部長とともに、工事に携わった会社や怪我を負った本人や家族に向けて深々と頭を下げた。ひと晩でやつれた陽介さんは、相当疲れたように見えた。
その日が瞬く間に過ぎた翌日。陽介さんの彼女でいられる最後の日がやってきた。
集中治療室に入っていたそのうちのひとりは今朝一般病棟に移ったと連絡が入り、事業企画部内では安堵の息が漏れた。
陽介さんはというと、事故の一報が入ってから連絡がついていない。アルカディアリゾートの開発の一切を請け負っているため、うちの広報はもちろん、陽介さんもいろいろな対応に追われている最中。岩崎部長によると、怪我をした方のご家族にもお詫びに行っているそうだ。ここ二日は異常な忙しさだろうと思うと、身体のことが心配になる。記者会見での疲労した顔を思い返した。
金曜日の仕事を終え、階下のクリニックへ行った私は待合室でスマホを取り出し、陽介さんからなんの連絡も入っていないことを確認してため息を吐いた。
「田宮さん、田宮香奈さん、診察室へお入りください」