惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

「……俺の顔になにか付いてる?」
「あ、いえっ、なにも」


慌てて俯いて首を横に振ると、副社長からクスッと笑みがこぼれる。


「ところで手はどう?」


副社長に聞かれて目線を落としてみると、さっきよりさらに腫れた気がする。それを見ただけで痛みが二割は増した気がした。


「ちょっとひどくなってるな」
「……はい」


彼の目で見てもそうらしい。


「折れちゃったかな……」
「えっ、骨折ですか!?」


つい大きな声を出すと、待合室にいる人たちばかりか、受付の綺麗なお姉さんの視線まで浴びた。騒がしくしたことを軽く会釈することで謝り、背中を丸める。


「良くてヒビかも」


骨折かヒビ……!

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