惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
ちょ、ちょっと待ってください。彼氏って、本気の彼氏ですか……?
「困ってるんだよね?」
はい、とっても。こくこくとうなずく。
「それならいいんじゃないかな」
えっ、でもでも!
「じゃ、そういうことで。よろしくね、俺の彼女さん」
副社長はそう言って、ドキッとするほど優しく微笑んだかと思ったら、右手を差し出してきた。
「は、はいっ」
反射的に出した私の手が、副社長のすこしひんやりとした手に包み込まれる。急速に高鳴る鼓動が、どうにも止められない。
憧れの副社長が私の彼氏に!
とんでもない展開が私に舞い降りた。
ポーッとする頭。勢いの衰えない心拍数。身体の細胞という細胞が興奮に踊っているような感覚だった。