惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
「風邪ひいたときみたいに今晩から泊まり込みパターンかな?」
琴子がクスクスとおもしろがって笑いながら、フォークに刺したパティとアボカドを口に運ぶ。そして「うわっ、なにこれ! おいしいんだけど!」とバーガーを大絶賛。
「ほんと?」
私も早速切り分けて口を大きく開いた。
「……んっ! おいしい!」
「でしょう?」
目を見開き、まるで自分の手柄のように琴子が言う。
でも、そう言いたくなるのもわからなくない。サルサソースとの相性も抜群。店員がおすすめするだけのことはある。周りのテーブルを見てみれば、店員のひと言に乗せられた人たちがたくさんいた。
「さて、お兄さんをどうかわすかの話し合いをしようか」
琴子が冗談めかす。完全に私たち兄妹のことを話のネタにしている。