惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

「風邪ひいたときみたいに今晩から泊まり込みパターンかな?」


琴子がクスクスとおもしろがって笑いながら、フォークに刺したパティとアボカドを口に運ぶ。そして「うわっ、なにこれ! おいしいんだけど!」とバーガーを大絶賛。


「ほんと?」


私も早速切り分けて口を大きく開いた。


「……んっ! おいしい!」
「でしょう?」


目を見開き、まるで自分の手柄のように琴子が言う。

でも、そう言いたくなるのもわからなくない。サルサソースとの相性も抜群。店員がおすすめするだけのことはある。周りのテーブルを見てみれば、店員のひと言に乗せられた人たちがたくさんいた。


「さて、お兄さんをどうかわすかの話し合いをしようか」


琴子が冗談めかす。完全に私たち兄妹のことを話のネタにしている。

< 33 / 143 >

この作品をシェア

pagetop